オープンハートなおじさん
家に帰るのに、吉祥寺から中央線に乗った。
四ッ谷まで快速だから、あっという間だ。
車内に乗り込むと、ドア至近の座席に、巨大な荷物を立てかけて座っている
ひとりの青年の姿が目に入る。
次の停車駅「荻窪」から一人のサラリーマン風のおじさまが乗ってきた。
巨大な荷物を見て、躊躇なく、その青年に話しかける。
「お、自転車?」
「あ、はい」
「いいね〜、最近多いよねっ」
へー自転車だったんだ。よくわかったのね。それにしても、あまりにさりげない。
こんな風に、見ず知らずの人に気軽に話しかけられる人って、おばさんならいるけど、おじさんには少ないよな。
一瞬上機嫌の酔っぱらいかとも思った…でも違っていた。
とってもオープンハートな素敵なおじさんだったのだ。我を忘れるほど…
「そうなんですか、僕、東京にはもっと人が多いのかと…」
「そう?僕らはこんな重いの運べないし、ぜったい無理だけどね、笑」
何やらとっても会話が楽しげだ。弾んでいる。いい感じー。
「中野」を過ぎて、また乗客が入れ替わった。
青年の隣の席が空いたけれど、
おじさんは座る素振りもなく、相変わらず青年の前に立って、
話を続けていた。
すぐ降りるのかな…
会話の内容から青年は、どうやら漆職人らしかった。
一部黒く染まった指を見せて、仕事上一時的に東京に滞在していることを
説明しているようだ。 そして、尋ねた。
「お住まいはお近いのですか?」
「そ、調布だからね」
「いいですね。今僕は上野で仕事しているので…」
上野の東照宮の修復に関係しているらしい。
その後話は、東照宮から日光、栃木から「U字工事」に発展し…さらに盛り上がる。
周辺に座っていた客の誰もが、顔さえ上げないものの、
ふたりの話に耳を傾けていた…
間違いなく、みんなのエネルギーは二人の様子に集中していた。
同じ東京の住人として、意外さと嬉しさが織り混ざったような不思議な空気感を漂わせて。。
満員電車でくっついてる隣の人にはものすごい距離感あるのに、その正反対。
心地よい連帯感、共有感、微笑みのバイブレーションだ。
「新宿」が近づく…。
私は、ちょっとどきどきし始めた…。
ふたりのやり取りはさらに展開を見せ、
『地球ラジオ』という番組には、世界中のバイカーがライブで登場すること。
青年もいつかは海外で自転車ツアーをしたいと考えていることなど、夢の膨らむ素敵な話で盛り上がっていた。すごいテンションあがってる!楽しそうだ。
そしてついに、”新宿〜新宿〜”
おじさんの背中越しに、どっと人がドアからホームへとはけて行く。
…あれ……
あれ、降りないの? ほら、人いっぱい降りてるよ!
え、もしかして、気づいてない? か、他に用事あるの?おじさん!
青年からひとつ席を隔てて座っていた私は、気がつくと、ふたりの方向に思いっきり視線を投げ掛けて、目で訴えていた。 そしてホームで鳴り響くドアを閉める警告音を、清々しいあきらめの気持ちで聞いていた。
そんな要らぬ心配をよそに、会話はさらに膨らんでいた。
「あー僕も海外を自転車で回りたいと思ってるんです〜」
「いいよね、今ヨーロッパの○○走ってまーすって」
……
「あ…あの…調布に帰られるんですよね…」
「そうだよ、」
「え、じゃ、どこで降りられるんでした? もしかして新…」
「うん、そう新宿」
「……あ…もう…」
「……え? 今どこ?」 …って、もう四ッ谷に向かってるよ!( ̄▽+ ̄*)
「あれ〜、通り過ぎちゃった? まいったな。気がつかなかったよ」
「うわー申し訳ないです!!!」
「うん? 平気平気、戻ればいい話さ、じゃ、ラジオに出るの楽しみにしてるよ!」
「ありがとうございます。出会えてよかったです。感謝します!」
「いや、僕も楽しかったよ、がんばってね。」「はい」
そうして、おじさんは、私と並んで四ッ谷で降り、階段を上り、
また階段を下りていったのだった。
とても軽い足取りで。≧(´▽`)≦
四ッ谷まで快速だから、あっという間だ。
車内に乗り込むと、ドア至近の座席に、巨大な荷物を立てかけて座っている
ひとりの青年の姿が目に入る。
次の停車駅「荻窪」から一人のサラリーマン風のおじさまが乗ってきた。
巨大な荷物を見て、躊躇なく、その青年に話しかける。
「お、自転車?」
「あ、はい」
「いいね〜、最近多いよねっ」
へー自転車だったんだ。よくわかったのね。それにしても、あまりにさりげない。
こんな風に、見ず知らずの人に気軽に話しかけられる人って、おばさんならいるけど、おじさんには少ないよな。
一瞬上機嫌の酔っぱらいかとも思った…でも違っていた。
とってもオープンハートな素敵なおじさんだったのだ。我を忘れるほど…
「そうなんですか、僕、東京にはもっと人が多いのかと…」
「そう?僕らはこんな重いの運べないし、ぜったい無理だけどね、笑」
何やらとっても会話が楽しげだ。弾んでいる。いい感じー。
「中野」を過ぎて、また乗客が入れ替わった。
青年の隣の席が空いたけれど、
おじさんは座る素振りもなく、相変わらず青年の前に立って、
話を続けていた。
すぐ降りるのかな…
会話の内容から青年は、どうやら漆職人らしかった。
一部黒く染まった指を見せて、仕事上一時的に東京に滞在していることを
説明しているようだ。 そして、尋ねた。
「お住まいはお近いのですか?」
「そ、調布だからね」
「いいですね。今僕は上野で仕事しているので…」
上野の東照宮の修復に関係しているらしい。
その後話は、東照宮から日光、栃木から「U字工事」に発展し…さらに盛り上がる。
周辺に座っていた客の誰もが、顔さえ上げないものの、
ふたりの話に耳を傾けていた…
間違いなく、みんなのエネルギーは二人の様子に集中していた。
同じ東京の住人として、意外さと嬉しさが織り混ざったような不思議な空気感を漂わせて。。
満員電車でくっついてる隣の人にはものすごい距離感あるのに、その正反対。
心地よい連帯感、共有感、微笑みのバイブレーションだ。
「新宿」が近づく…。
私は、ちょっとどきどきし始めた…。
ふたりのやり取りはさらに展開を見せ、
『地球ラジオ』という番組には、世界中のバイカーがライブで登場すること。
青年もいつかは海外で自転車ツアーをしたいと考えていることなど、夢の膨らむ素敵な話で盛り上がっていた。すごいテンションあがってる!楽しそうだ。
そしてついに、”新宿〜新宿〜”
おじさんの背中越しに、どっと人がドアからホームへとはけて行く。
…あれ……
あれ、降りないの? ほら、人いっぱい降りてるよ!
え、もしかして、気づいてない? か、他に用事あるの?おじさん!
青年からひとつ席を隔てて座っていた私は、気がつくと、ふたりの方向に思いっきり視線を投げ掛けて、目で訴えていた。 そしてホームで鳴り響くドアを閉める警告音を、清々しいあきらめの気持ちで聞いていた。
そんな要らぬ心配をよそに、会話はさらに膨らんでいた。
「あー僕も海外を自転車で回りたいと思ってるんです〜」
「いいよね、今ヨーロッパの○○走ってまーすって」
……
「あ…あの…調布に帰られるんですよね…」
「そうだよ、」
「え、じゃ、どこで降りられるんでした? もしかして新…」
「うん、そう新宿」
「……あ…もう…」
「……え? 今どこ?」 …って、もう四ッ谷に向かってるよ!( ̄▽+ ̄*)
「あれ〜、通り過ぎちゃった? まいったな。気がつかなかったよ」
「うわー申し訳ないです!!!」
「うん? 平気平気、戻ればいい話さ、じゃ、ラジオに出るの楽しみにしてるよ!」
「ありがとうございます。出会えてよかったです。感謝します!」
「いや、僕も楽しかったよ、がんばってね。」「はい」
そうして、おじさんは、私と並んで四ッ谷で降り、階段を上り、
また階段を下りていったのだった。
とても軽い足取りで。≧(´▽`)≦
光景が目に浮かぶようです~。
返信削除さわやかなコミュニケーションですよね。
オープンハートになると、関わる人にさえ素敵な感動が産まれる・・・♪
いいですね~★
わー外国にいるみたい♪
返信削除話しかける勇気、注意する勇気ってのが、
ココ日本は変にしにくい雰囲気が漂っているよね。。。
海外だと大丈夫なのに、そんな私も日本では躊躇したことは何度もあるよ…
>Mami さん
返信削除コメントありがとうございます! そうなんですね。車内全体が
なんだか柔らかい空気に包まれて…やはり本物のオープンハートは
エゴフリーだから、周りの人を芯から優しくさせるよね。
>waka ちゃん
そうね、日本人はもしかすると「空気を読みすぎる」傾向が強いかも。そんな繊細さがいい時もあるんだけど…やはりバランスなのかな。
はいふぁいは、ワカのオープンハートでリードされていますよお! ありがとー♪ そして…もっといけるっしょ!
〜オープンハートって、恐れや警戒心のない「人を信じられる」という気持ちが溢れているんだなー、とつくづく感じた日でした。☆感謝☆ミチコ